NHK世論調査から見る参院選後はどうなる

第二次石破政権が少数与党で発足してから半年が経過しました。商品券配布問題を機に非主流派の一部から「石破おろし」の動きが生じましたが、結局一旦は落ち着きました。背景としては、内閣支持率が低下する中でも、自民党主流派が非主流派の総理総裁誕生を望まず、首相続投で結束が乱れなかったことが挙げられます。

 少数与党の状況下、予算案を年度内に通過させることができるか否かも試金石であったと思いますが、石破政権は協力相手を国民民主党から日本維新の会に切り替えて乗り切った格好です。

 政治日程を考えれば、石破政権にとっては6月が正念場となりそうです。現在は嵐の前の静けさといえるかもしれません。

 自民、公明の両与党は参院選前に経済対策を策定することで合意しており、党公約や骨太方針にも反映されます。自民党は消費減税の扱いをどうするか、最終決定する必要があります。

 6月22日には、参院選の前哨戦となる東京都議選が実施されるほか、同日に通常国会が会期末を迎えます。会期末を控えて、石破政権が積極的に衆院解散を打ち出す可能性はいまのところ低いとみられていますが、内閣不信任決議案可決を経て消極的に衆院解散を選択し、衆参ダブル選挙となる可能性はゼロではありません。

 衆院解散の有無はともかくとして、7月には参院選の本番を迎えることになります。昨年の自民党総裁選および衆院選では、政治資金問題が主要なテーマでしたが、今年の参院選では経済政策がテーマとなるのではと思います。

 争点化しつつある消費減税の扱いのほか、コメなど食料価格高騰への対処、米国との関税交渉が注目されます。

 現在の支持率動向を踏まえれば、与党の苦戦が予想されますが、野党では候補者一本化など選挙協力が部分的にしか進んでいません。勝敗ラインが低めに位置付けられていることもあり、与党が勝利できるか否かまだ不透明な情勢です。

 そして参院選後、与党が敗北する場合のみならず、過半数を維持して勝利する場合でも、連立政権の組み替えなど何らかの政界再編が生じやすいことが予想できます。その場合、日本維新の会の動向が再編の引き金となると思います。経済政策は、政界再編を経てどの党が協力するかの組み合わせ次第で大きく異なってきます。

長期にデータを得られるNHK世論調査により、近年の内閣支持率の推移を確認してみます。

 岸田前政権の支持率は、発足当初は50%台で推移しましたが、段階的に低下しました。旧統一教会を巡る問題が生じた2022年後半以降は40%前後で、政治資金問題が生じた2023年末以降は20%台前半で推移しました。そして、2024年9月に20%と最低値を更新し、岸田政権は退陣しました。

 石破氏は表面上国民人気の高さを期待されて自民党総裁、首相に選出されましたが、国会運営や政策の方針を巡る発言のぶれなどもあり、支持率は低い滑り出しとなりました。石破政権の支持率は2024年10月に44%にとどまり、発足時としては森政権の39%(2000年4月)に次ぐ低水準となりました。

 その後、40%前後で推移し、2025年2月には44%まで戻りましたが、商品券配布問題が生じた3月に36%へやや大きく低下しました。その後も低下が続き、最新5月の支持率は33%まで下落しています。

商品券配布問題に対する関心は薄れているとみられるものの、物価高騰や関税問題により景気の先行きへの不安感が高まっていることが支持率低下に影響したと思われます。

内閣支持率から不支持率を差し引いたスプレッドは、政権の安定性をみる上で1つの参考指標になります。

 過去をみると、スプレッドのマイナス幅が▲20%ptを超えた場合、マイナス幅が拡大傾向を辿り、そのまま退陣となるケースがほとんどです。例外は小渕内閣に限られ、危険水域に入ると挽回が難しくなります。

 岸田前政権のスプレッドは、政治資金問題の影響で2023年11月以降に▲20%ptを超え、そのまま挽回することなく自民党総裁選を機に退陣へ至りました。

 石破政権のスプレッドは、発足時の2024年10月に+12%ptと小幅なプラスでの滑り出しとなり、12月以降はゼロ近傍で推移してきました。その後、商品券配布問題が生じた2025年3月には▲9%ptと明確なマイナス圏に突入しました。最新5月には▲15%ptまで悪化しており、危険水域は目前です。

目を引くのは、内閣支持率だけではなく、自民党の政党支持率も低下傾向にある点です。

 2024年10月は35.1%でしたが、徐々に低下し、最新の2025年5月は26.4%にとどまります。岸田前政権時の最低水準だった2024年6月の25.5%に迫っており、参院選は苦戦を強いられます。石破政権や自民党にとって、衆院解散を積極的に打ち出せる状況ではないのです。

 なお、主要野党の中では、日本維新の会の支持率が低下傾向にある一方、国民民主党の支持率が昨年の衆院選後に大きく上昇、その後も高水準を維持しています。足元では、野党第1党である立憲民主党にほぼ並んでいる状況です。

政治日程を考えれば、石破政権にとっては参院選を控えた6月が正念場となりそうです。現在は嵐の前の静けさといえるかもしれません。

 まず、経済政策面では、自民党は消費減税の有無を最終決断する必要があります。

 6月中に与野党の参院選公約が出揃うほか、石破政権が骨太方針を決定する予定です。自民、公明の両与党は、参院選前に経済対策を策定することで合意しています。石破政権の継続なら、経済対策の財源を措置する補正予算案を参院選後の臨時国会に提出する段取りとなります。政府・与党は、この経済対策を参院選公約や骨太方針に反映する見込みです。

 公明党は、消費税などの減税案や給付策を経済対策に盛り込むべきと主張しています。自民党の執行部は現時点で消費減税に慎重です。野党との対抗では、減税実施の場合の財源を争点にする意向と思われますが、参院選の情勢調査次第では、減税路線に舵を切る可能性があり、経済対策の議論に注目する必要があります。

そして政局面では、6月22日に参院選の前哨戦となる東京都議選が実施され、同日に通常国会が会期末を迎えます。参院選(参院改選議員の任期満了)を控えているため、会期は延長されない可能性が高いと思います。会期末を控えて、衆院解散や内閣不信任決議案の提出があるか注目されます。

 まず衆院解散の可能性ですが、衆院が少数与党の状態であるため、状況打開のため衆参両院のダブル選挙とするインセンティブが自民党には存在します。しかしそれはあくまでも支持率が高ければの話です。内閣支持率のみならず自民党支持率も低下傾向にあるため、石破政権は衆院解散を積極的に打ち出せる状況にはありません。

内閣不信任決議案の可能性ですが、例年野党は会期末に衆院において内閣不信任決議案を提出するケースが多くみられます。通常は否決されて、時の政権が継続します。しかし現在は少数与党であり、野党が軒並み賛成に回れば、不信任案を可決し得る状況にあります。

 仮に可決される場合、石破政権は10日以内に衆院を解散するか、総辞職しなければなりません。野党の立場からみれば、内閣不信任決議案を提出するインセンティブがないわけではありません。

 石破政権が衆院解散・総選挙に踏み切る場合、支持率動向を踏まえれば、衆参両院で野党が議席数を伸ばす可能性が高く、一気に政権交代となる可能性も出てくることになります。野党にとっては候補者一本化など選挙協力の難易度が上がることになると思われますが、それよりも両院で議席数を伸ばして影響力を高めるための行動に出るインセンティブがあります。

 一方、石破政権が総辞職する場合、首班指名選挙次第で自民党新総裁による政権誕生になる可能性と、野党結集による政権交代となる可能性の両方が存在します。自民党新総裁誕生ならば、参院選において野党に不利に働くことになります。

 仮に内閣不信任決議案が可決される場合、石破首相は総辞職を選ぶよりも、政権継続の可能性に賭けて衆院解散・総選挙に踏み切るのではないかとも思います。これを見越して、野党が内閣不信任決議案の可決に動く可能性はあると思います。

つまり石破政権が積極的に衆院解散を打ち出す可能性は低いものの、内閣不信任決議案可決を経て消極的に衆院解散を選択し、衆参ダブル選挙となる可能性は決してゼロではありません。会期末を控え、政局が緊迫化することは確実です。

衆院解散の有無はともかくとして、7月には参院選の本番を迎えます。衆院解散や会期延長がなければ、参院選は7月3日公示、7月20日投開票となる公算が大きいと予測されます。

 今夏の参院選は、定数248議席の半数124議席に、東京都選挙区の非改選の欠員補充1を合わせた、計125議席で争われます。石破政権は、勝敗ラインを「与党改選過半数」ではなく「与党過半数」に位置づけています。改選で現有議席を15議席(議長分を考慮すれば16議席)減らしても、石破政権は勝利と位置付けるだろうと思います。

 現在の支持率動向を踏まえれば、与党の苦戦が予想されます。しかし、野党では候補者の一本化など選挙協力が部分的にしか進んでいません。勝敗ラインが低めに位置付けられていることもあり、与党が勝利できるか否かまだ不透明な情勢です。

 昨年の自民党総裁選および衆院選では、政治資金問題が主要なテーマでしたが、今年の参院選では経済政策がテーマとなりそうです。争点化しつつある消費減税の扱いのほか、コメなど食料価格高騰への対処、そして米国との関税交渉が、参院選に影響するとみられています。

石破政権が衆院解散・総選挙に踏み切る場合、衆参両院で野党が議席数を伸ばす可能性が高く、一気に政権交代となる可能性も出てきます。野党が内閣不信任決議案の提出を見送り、衆院解散がなく参院選のみ実施の場合でも、選挙後には何らかの政界再編が生じやすいと思われます。

 参院選で与党が敗北する場合のみならず、勝利する場合でも、政界再編が生じやすいと思います。その場合、カギを握るのは日本維新の会の動向です。

 少数与党にもかかわらず、衆院で予算などが成立しているのは、日本維新の会が協力しているためです。特に、石破首相に近いと目される前原共同代表の存在が大きいと思います。

 その日本維新の会は、現在の支持率動向を踏まえれば、参院選でどちらかといえば議席数を減らす可能性が高いとみられています。

 前原氏を含む執行部が議席減の責任をとるようであれば、日本維新の会による与党との協調路線は見直され、政界再編の引き金となります。逆に前原共同代表続投であれば、現在のような部分的な協力の継続、もしくは連立与党入りとなる可能性が出てくると思います。

参院選後の政権枠組みとしては、様々なパターンが考えられます。

  • 与党による連立政権組み替え
  • 野党結集による政権交代
  • 自民党と立憲民主党による大連立
  • 少数与党継続

の主に4パターンが考えられます。

一、の与党による連立政権組み替え(拡大)の場合、その相手としては国民民主党と日本維新の会の2つが存在します。政局よりも政策実現を重んじる国民民主党に対して連立入りを打診する場合は、玉木代表に首相の座を譲る可能性が高くなります。

かつて自民党が日本社会党、新党さきがけと連立を組んで政権復帰した際、日本社会党の村山委員長を首相に担ぎ出した事例があります。直近では、岸田前首相が玉木代表を首相候補として言及しています。

二、の野党結集による政権交代の場合も、野党第1党である立憲民主党の野田代表ではなく、国民民主党の玉木代表を首班に据える可能性があります。

先行きの経済政策はどうなるのか、参院選後に政権枠組みがどうなるのか、どの党が協力するのかの組み合わせ次第で、政策運営は大きく異なってきます。極めて不透明な情勢だと言えます。

金融政策については、日銀は当面様子見姿勢であると思いますが、日銀総裁などによるこれまでの発言を踏まえると、次の一手は利上げの可能性が高いと思われます。

 この日銀の利上げ路線が見直しとなるリスクの1つは政治動向です。具体的には、利上げに否定的な国民民主党の玉木代表、もしくは自民党の高市前経済安全保障担当相が首相に就任する場合が挙げられます。

 日銀は独立性を有してはいますが、実際には首相は日銀総裁と直接会談する機会を有し、政策決定に多少なりとも影響を及ぼし得る立場です。

財政政策については、当面与野党各党の消費減税に対するスタンスが注目されます。野党各党は軒並み消費減税を求めている。与党は、繰り返しになるが、公明党が食料品対象の消費減税を打ち出していますが、自民党の執行部は現時点で消費減税に慎重です。ただ、骨太方針や公約策定時に減税路線へ舵を切る可能性はあります。

各党の消費減税案は、対象や時期、財源などを巡って違いもあります。特に財源の違いは重要です。

消費減税を時限的に実施したとしても、復活させる、すなわち増税する際の政治的なハードルは高くなります。時限的な実施を約束しても、なし崩し的に恒久化する可能性が高いと思います。減税実施に当たっては、恒久性のある財源を確保できるか否かが重要です。

与党が減税路線に舵を切る場合は、財源を明示する可能性が高いはずです。一方、野党は財源を巡るスタンスに隔たりがあります。

国民民主党は一律5%への税率引き下げを赤字国債発行などで賄う方針を示しており、積極財政路線です。一方、立憲民主党は食料品の税率をゼロとする財源を赤字国債発行に頼らず確保する方針です。野田代表は所得税の累進性強化で財源の一部を賄う可能性を示唆しています。

 いずれにしろ参院選後の政権枠組みがどうなるか次第で、消費減税の扱いを含めて財政政策の方向感が大きく変わってきます。

一、の与党による連立政権の組み替え(拡大)の場合でも、連立相手が国民民主党となるか日本維新の会となるかで、財政スタンスは大きく変わります。

二、の野党結集による政権交代の場合、国民民主党の玉木代表が首相となる可能性が高く、積極財政路線になりやすくなります。

三、の自民党と立憲民主党による大連立の場合、財政健全化路線が採られやすくなります。

四、の少数与党継続の場合は、与党が野党各党の主張を取り入れる形で予算を編成するため、財政規律が緩みやすくなります。

与野党各党とも、参院選後に党首が変わるようであれば、その党の経済政策スタンスも変わり得ることになります。

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